T-01 吸血鬼のお姫さまは、僕と【結婚の約束】をしていたらしい?……の書き出し祭りリンクはこちら
第二十五回 書き出し祭り 特別会場 – T-01 吸血鬼のお姫さまは、僕と【結婚の約束】をしていたらしい?
タイトル感想
ジャンルとしてはラブコメディ、ライトノベルであることを期待しました。
想定読者および内容が想像しやすくて、素敵なタイトルだと思いました。
あらすじ感想
あらすじから読み取れる状況と、一読者として私が本文に期待した展開を、下記に記載します。
主人公とヒロインに焦点を当てたあらすじなので、それぞれ二人に対する印象を述べながら、ストーリーについても想像しました。
ミズキ:寂寥感を抱えている。具体的には明記されていませんが、何かしらの要因で周囲から孤立しているようなので、本文での説明に期待が高まります。
失われた記憶が物語の鍵を握りそう。暗い背景を想像してしまうキャラだが、どうラブコメディに活かしちゃうのか!
ルチル:”異世界”から来た”吸血鬼”の”姫”。最初は”姫””吸血鬼”属性そのものを楽しむのがベターと判断しました。
今後、みずきの記憶と共に彼女の背景情報が開示されていくことを期待しています!
本文感想
事件からの導入を行う。開始5行近辺で読者の興味を定着させる。戦略として、とても王道で狙いのついた入り出しで、好印象でした。
喉元過ぎたら。とも言いますので、その後の主人公の冷静すぎる応対・重たいバックグラウンド提示も、もしも違和感を感じたとて、読者側は乗り越えてくれる。そう信じて作者様は書いてたんじゃないかな、なんて想像しました。
最後まで書き出しを読んだら、しっかり上記の違和感、そしてストーリー上の謎が(全てとはいかないものの)解き放たれ、カタルシスや奥行きを産むように構成されてるように思えましたので。
立派なラブコメディの”始まり”で、とても楽しかったです。お世辞ではないです!ガチで強者が来て参ってる。
書き出し祭りに対して、より戦略的にストーリーをブラッシュアップされたのだろうなと想像を巡らせております。
ここからはより分析ベースの話に変わるんですが。
このストーリーを紐解いていくと、以下のような構造になるんじゃないかなと考えてます。
構造の分析


まさしく盤石じゃ!!!
基本的に1つの要素を2つ作って平行させるようなことはしない、非常にシンプルで頭に入ってきやすい構成であるように思えました。そのため読者目線で理解の混乱を産む場所というのが、かなりそぎ落とされており、ライトノベルとしてとても優等生だなと感嘆したほどです。(書き出し祭りの読者層を考えると、かなり上位が期待できるのでは……?)
書き出しにしてはきれい過ぎるくらいに纏まってるし、コメディ要素はまだ薄いのですが、話の出口とコメディ要素への期待感(上図の紫太字の部分によりもの)がしっかりとあって、全く問題になりません。
上記の通り、まさにターゲット層を見越したような、技術的なこなれ感があり、書いたのは商業の道に身を置かれている方かな、なんて想像してます。
私自身は本作の想定読者層から外れる身ではあるのですが…こうしてシステマチックに構造を紐解けば、どこにでも通用しうる技術が浮き彫りになってくる。私はまだ、この技術レベルのステージからは程遠い位置にいます……。それゆえに、とても参考に、かつ勉強させていただいた作品でした。読ませていただき、本当にありがとうございました。
改善提案:盤石ゆえに欲しい”熱”の部分
ここからはすみません。
このような面白い作品を無課金で享受している分際で、今から作者様に本能任せの要望をぶちまけます。この罪をどうかお赦しください。
まずは結論から。もっと、作品から作者様の血肉を感じさせてほしい。熱を込めてほしい。
どの創作分野でも起こりうるケースだと思ってます。『こなれ感がかえって作品の面白さを殺す』というケース。
なぜこんなことを言うのかというと、私自身、そういった方をたくさん見てきたからです。
畑違いではありますが、私は美術大学ないしその受験でずっと絵を描いて、ひたすら画家としての生存競争を見越して取り組める環境に身を置いていた時期がありました。
特に美大受験生は競争の激しさゆえに、技術的な正解を追求し続ける傾向がありました。だからこそ上手いけど魅力的でないものが、かなりの頻度で出来上がってしまう。
『現物の観察を怠り、自然さを損ねた鉛筆デッサン』
『存在しない差し色を強調しすぎて、人工みを増した自然物の着彩画』
など。
弁明しますが、作者様の作品がつまらないとは微塵も思ってません!作品に血肉が無いとも思いません!血肉がもっと欲しいだけです!(語弊)まーーーーじで面白いし、書きたいものが明確で、技術的な教科書にしたいほどです。まだ作者名が未公表な今からすでに、本心から、尊敬の念を感じているほどなのですから。
「何言ってんだこいつ」ってなったらすみません。抽象的な要望になって申し訳ないです。でも、本心から思うのです。上記の完璧な技術の枠に収まらないような、作者様の気持ちがドンと乗って、熱量による説得力を感じるような。
……そんな描写があったとしたら。特にミズキの感情描写が真に迫るものになったら。
この記事を私は、こうしてずっと腰を据えて、書いていられはいなかったでしょう。火照りを冷ますべくフラフラと歩いて、気持ちを落ち着けようと必死になったでしょう。
私の言ってることは精神論とか根性論とか、ぶっちゃけそういうやつに近いです。でも私にとっては大切なことなので、ちょっとバカにされちゃうことも覚悟して、作者様への要望・改善提案として『作品にさらにもっと血肉を込める』こと────この一点のみをお伝えします。心のうちに持ち帰って、ご検討ください。(帰り道で「いらね」ってちゃっかり捨てちゃっても問題ありません)
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